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化粧品の使用期限についての裏事情

普段みなさんが購入しているお弁当などには消費期限がお菓子やら飲み物には賞味期限が書かれています。ですが、化粧品には使用期限や消費期限が書いている商品をほとんど見たことはないかと思います。

無添加化粧品で有名な化粧品メーカーの商品では、使用期限を書いているものもありますが、大抵の化粧品には使用期限を書いたものはありません。それらのら化粧品はいつまでも使えるのでしょうか?

本記事では、化粧品の使用期限についての裏事情を紹介します。

 

使用期限はお客様センターに聞く

みなさんは、こんな経験はないでしょうか?

以前にセールで買った化粧品が洗面所の棚の奥の方から見つかった。フタも開けずにそのまま放置してたから、まだ使えるんじゃないかな?でも実際いつまで使えるか知りたい。 
あなたは箱の裏面を読んだり容器の底面などを探しましたが、使用期限は書いていません。その代わり化粧品の箱や容器の底には意味不明な英数字と記号が書いているのみでどこを見ても使用期限がわからない。

こんな時は、化粧品のパッケージに書いてある「お問い合わせ先」や「お客様相談センター」に連絡して聞いてみましょう。

お客様相談センターでは、その化粧品がいつ生産されたものかを調べてくれ、いつまで使用できるかどうかを教えてくれるはずです。このとき、化粧はや容器の裏面に書いてある不思議な英数字がキーになります。

この不思議な英数字は「製造番号」というものです。「ロット番号」とも言います。

 

 

ここで一旦寄り道をして、製造番号について紹介します。

製造番号について

使用期限を調べてもらうときに必要になるのが製造番号です。

ほとんどの化粧品で、製造番号は化粧品容器の底面や側面など、正面からはあまり見えない位置に記載されています。この製造番号、英数字や記号の組み合せで書かれているので、消費者が一見しただけでは、意味不明な文字の組み合わせにしか見えません。

ですがこの文字には生産した日にちや生産工場の拠点情報などが色々な情報が盛り込まれてるのです。そして、企業が独自に決めている暗号化のルールに則って作られていますので一般消費者がすぐにわからないようになっているのです。

特殊な文字の羅列ですが、化粧品を製造した企業なら製造記号を見ただけで、いつ作られた化粧品か判別できるので、製造日から使用期限を割り出すことができるのです。

では、なぜ分かりにくい暗号のようにして記録しているのでしょうか?

この理由は企業によって様々ですが、小さい容器の化粧品もある中で、製造番号には製造拠点・製造日・製造回数・製造時間などたくさんの情報を盛り込む必要があるため、小さい範囲少ない文字で多く情報を盛り込むための特別な暗号方式を使っているのでしょう。

また、製造年月日が消費者に容易にわかってしまうと、市場で古い商品が手に取られなくなるというリスクもありますが、暗号方式なら回避することが出来ます。

 

使用期限は製造から3年

お客様相談センターに相談したあなたは、使用期限についてこのように言われます。

「未開封でしたら製造から3年を使用期限の目安として設定させていただいております。ですから、お客様のおてもとの商品の使用期限は◯年◯月です。開封済みでしたら、なるべく早く使用ていただくことをおすすめしております。開封後は3ヶ月程度で使い切っていただくよう案内させていただいております。」

 

そうです。

化粧品メーカーの多くは、消費期限を「未開封で製造から3年」と回答します。容器や箱に使用期限は記載していないですが、問い合わせをすると製造から3年と答えがかえってくる不思議な現象です。

 

実はこれにも理由があるのです。

 

3年保証のルール

市場にある化粧品には使用期限が書いていないものがほとんどですが、使用期限に関するルールがないというわけではありません。使用期限の表示は法律でしっかりと定めてあるのです。

 

化粧品の使用期限記載に関するルールでは

「適切な保存条件の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている化粧品においては使用期限について法的な表示義務はない。」と薬機法*1にて決められています。

 

この文章を少し角度を変えて読んでみると・・・・。
3年以上の安定性が確認できている化粧品は使用期限を書かなくて良い
という読み取り方ができます。つまり・・・

 3年以上の安定性の確認ができていない化粧品:使用期限の記載が必要

 3年以上の安定性が確認ができている化粧品 :使用期限の記載が不要

ということです。

 

ですので、市場の使用期限の記載がない化粧品は3年以上の安定性が確認できている化粧品ということになります。

 

3年以上〜3年1日未満

では、先程のお客様センターではなぜ未開封状態で3年が使用期限の目安といったのでしょうか?使用期限が書いていないのだから3年以上安定ではないのか?と思うかもしれませんが、これは作り手側のリスクヘッジです。

 

3年以上の安定性の確認が取れていれば、使用期限の記載をしなくていよいのですが、一方で10年や20年といった長期間の安定性が確認が取れているかというと、なかなか難しくなります。製造から時間が経てば経つほど製品劣化の可能性が上がりますので、いつまでも品質を保証するとメーカーの負担が大きくなります。

そこで、「化粧品の開発時に3年以上の安定性の確認は取れているが、何が起こるかわからないので、使用期限を書かなくてもいい3年を過ぎたらもう使わないでください。」

ということになるのです。

 

使用期限を書かないもう一つの理由

結局3年で使用期限を設定するんだったら、製造日から3年後の日付を使用期限として書いたらいいじゃないか?と思うかもしれません。

これは、先程紹介した製造番号と同じ消費者の心理が関係します。使用期限が記載されていると、できるだけ使用期限が先のものを選びたくなるのが人間です。そうすると古いものは売れ残ります。メーカーとしては古いものから先に売れる「先入れ先出し」というのが理想ですが、使用期限という鮮度を判別できる情報が記載されていると、人間の心理として鮮度の新しいものを買い求める気持ちが働いてしまうからだと思います。

 

最後に

今回は化粧品の使用期限について、3年保証意味や記載の義務などについてせつめいしました。なお、未開封の状態で3年という一般的な取り決めについても紹介しましたが化粧品はご自分の肌との相性をよくよく確認しながら使うのが大事なことです。使用期限内だから絶対安全とも限りませんので、一度パッチテスト(目立たないところで少量を肌に塗布して様子を見る)などしてから使い始めるなど注意も必要です。

*1:「医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」のこと、長いのでよく「薬機法(やっきほう)」と呼ばれます。